【ウィンチェスターM1873】西部開拓時代の名銃たち【コルトSAA】

 

西武開拓以前の銃

カートリッジが発明されるまで、銃といっても今のものとは大きく違う構造をしており、弾丸をシリンダーの前方から装填する先込め銃だけでした。

コルトドラグーン

こちらは、コルト・ウォーカー・モデルの改良型、ドラグーンです。
こういった先込め銃は、1846年から続いたメキシコ戦争、1848年からのゴールドラッシュ、1861年に始まった南北戦争などで多く使われ、非常に大流行しました。

この当時の銃は、弾丸と火薬と雷管をそれぞれ別々に装填する必要がありました。
今から考えるとおそろしいほどに面倒ですが、当時はそのやり方しかなかったのです。

そしてカートリッジが発明された

しかし、先込め銃の栄華は長くは続きませんでした。
上記の面倒を解決するアイデアとして、弾丸と発射薬と雷管とを一体化した、カートリッジ(弾薬)が発明されたからです。
この世紀の大発明のおかげで、カートッジを銃の後ろから装填することができる、後装式の銃が次々と世に発表されました。

カートリッジ構造

とりわけ、1873年はエポックメイキングな年となりました。

この年、ウィンチェスター・モデル1873というライフル銃とコルトのシングル・アクション・アーミーという拳銃が世に出たのです。
そしてこの2つの銃は、まさにアメリカが西部開拓時代とよばれるそのときに誕生したのでした。

ウィンチェスターM1873

ウィンチェスターM73以前の連発式ライフルは、リムファイヤ式のカートリッジを使っていたのですが、こいつが不発が多く、命中精度が低かったのです。
ウィンチェスターM73は、センターファイヤ式のカートリッジを用いていました。
伝説的な弾薬、「44-40WCF」です。

44-40WCF

ちなみにリムファイヤ式とセンターファイヤ式の違いは下の絵の通り、プライマーがどこに付いているかです。
リムファイヤ式では薬莢の底周辺についており、センターファイヤ式では薬莢の底の中心についています。

rim-center

44-40WCFは、0.44インチの口径で40グレインの黒色火薬が入っているという意味です。
1グレインは0.0648グラムなので、40グレインは約2.6グラムほどです。
WCFとはWinchester Center Fireの略です。

強度と信頼性が高まったこの弾薬であれば、火薬の量を増やすことができたので、結果的に弾速が上がり、命中精度を高めることができました。
まさに画期的な弾薬が登場した瞬間でした。

Winchester_Model_1873_Short_Rifle_1495

M1873は、飛ぶように売れ、「西武を征服した銃」(”The Gun that Won the West”)と呼ばれる、ライフル銃の歴史に残る大ヒット商品となりました。
1872年から1924年までの間、ウィンチェスターM73は実に70万挺以上もつくられたのです。

 

コルト シングル・アクション・アーミー

もう一つの銃も、まさに歴史に残る名銃でした。

コルト社の6連発シングル・アクション・リボルバー、「シングル・アクション・アーミー」(略称:SAA。通称:ピースメーカー)です。

Colt SAA-S1

0.45インチ、俗にいう「45口径」でシリンダーがフレームにがっちり固定されたソリッド・フレームという構造を採用していました。
こちらもM1873同様、センターファイヤ式のカートリッジを使用しており、デザイン的にも優れ、ニッケル仕上げした特注モデルも話題となりました。

シングル・アクション・アーミーは、20年間で15万挺以上が製造され、軍隊には4万挺近く納品されたと言われています。

6連発のリボルバーであることから、「シックス・ガン」という異名が付きました。
当時、リボルバーといえば、このコルトSAAを指すと言われるまでの大ヒットとなっています。

 

シングル・アクション・アーミーには、5種類のバージョンがあり、銃身の長さが4インチ以下のものは「シェリフズ」、4・3/4インチのものは「シヴィリアン」、5・1/2インチのものは「アーティラリー」、7・1/2インチのものは「キャヴァルリー」、10〜16インチには「バントライン・スペシャル」と、それぞれ呼ばれました。

このバントライン・スペシャルは、毛皮猟師で作家だったネッド・バントラインが、カンザス州の保安官だったワイアット・アープに特別に贈呈したと言われていますが、実際にはこれは嘘っぱちのようで、実際にはコルト社が建国百年祭を記念して特別に16インチモデルをつくったとのことです。

Buntline

ワイアット・アープは、カンザス州のドッジシティで保安官を務めていましたが、あまりの荒っぽさに追放されていまい、アリゾナ準州のトゥームストーンに流れ着きます。

ワイアット・アープ

そこで、しばらく賭場の胴元や売春宿の経営をしていたのですが、1881年10月26日に、バージル・アープ、モーガン・アープの兄弟とドク・ホリディを連れて、クラントン兄弟をはじめとする「カウボーイズ」と呼ばれる土着の牧童たちと決闘します。

世に名高い、「OK牧場の決闘」です。

この決闘は後に監督ジョン・スタージェス、主演バート・ランカスターにより映画化されました。
まさに西部開拓時代のスーパーヒーローです。

OK牧場

この映画で、バート・ランカスター扮するワイアット・アープは、シングル・アクション・アーミーを使っているのですが、実際にはこのときスミス&ウェッソンのリボルバー、「スコフィールド」を使っていたそうです。

いずれにしろ、ウィンチェスターM1873とコルトのシングル・アクション・アーミーは、当時のカウボーイや開拓者たちに広く愛用され、まさに西部開拓時代を象徴する銃となったのでした。

 


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