第一次世界大戦とは何だったのかー100年目のときにー

 

今年は、第一次世界大戦が始まった年からちょうど100年目の年です。

第一次世界大戦は、第二次世界大戦が起きるまでは、当然「第一次」ではなかったわけで、それまで唯一の世界大戦だったのです。
英語では、未だに”Great War”といえば、この第一次世界大戦を指します。
特に西洋においては、それまでのヨーロッパの繁栄をすべてぶち壊してしまったという意味で、第二次大戦よりもこの最初の世界大戦こそがはるかに歴史上重要な意味合いを持ちます。

死者は少なくとも2000万人、使われた戦費は800億ドル以上。

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第二次大戦が重要なのは、ナチスによるホロコーストなどの人道的な問題や、独ソ戦という史上類を見ない大規模な戦闘が行われたこと、アジア全域において大規模な戦闘が行われたこと、原子爆弾が投下されたことなどが特筆されるべき事項であって、それ以外においては、あくまで第一次大戦の焼き直しか、延長線という意味しかないとまでいう人もいるくらいです。

ヨーロッパ近代史という大きなハイウェーの中で、フランス大革命以降のなだらかな直線の後に突然現れた、急カーブが第一次世界大戦であった。第二次世界大戦は、猛スピードで急カーブをくぐりぬけたスポツーカーのドライバーが、態勢を整えるために施したハンドル操作程度のものにすぎない。つまり道自体はたいして曲がっていないのである
福田和也『第二次大戦とは何だったのか?』

19世紀後半、ヨーロッパは平和な「良き時代(ベルエポック)」でした。

Belle Epoque

1815年のワーテルローの戦い以来、欧州の安定した社会秩序を大きく脅かすような全体戦争は起きていませんでした。
物質的進歩と産業の発展は着実に続いており、生活水準は向上し、平均寿命は伸び続けており、識字率は高まり、奴隷も女性も解放されていました。
人類の英知はあらゆる争いと貧困を乗り越えたと誰もが信じており、未来に向かって永続的に進歩していくことを疑うものはごくわずかでした。

欧州の王族はみな親類であり、ヴィクトリア女王がその頂点に君臨していました。

クリスタルパレス

ただその一方で、その繁栄の影ではすでに破壊と混沌の渦が胎動しようとしていました。

欧州列強はその帝国主義の眼と刃をアフリカから中東、アジア、太平洋へと向けており、この海外航路・植民地争奪戦の中で、利害の一致する国同士が手を結び、世界は「同盟国」と「連合国」という2つのブロックに分かれていったのです。
そして太陽の沈むことのない大英帝国の覇権に挑戦しようとする新たな国家が牙を研いでいました。
ドイツです。

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第一次世界大戦から100周年を記念して、引き続き「戦争を終わらせる戦争」と呼ばれたこの大戦を取り上げていきたいと思います。

 


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1 Response

  1. 2014年11月23日

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