戦車の主砲には、ライフル砲と滑腔砲があります。
ライフル砲はライフル銃と同じように砲弾にスピン(旋転)をかけて弾道を安定することを目的としています。
そのため、砲身の内部にスピンをかけるためのライフリング(腔綫)が刻まれています。
それに対し、ライフリングが刻まれていない、つるっつるの砲身を滑腔砲といいます。
じゃ、どうやって弾道を安定させるんだ?という疑問が出ますが、この場合、弾丸に翼をつけることによって安定させることが可能です。
この弾丸を装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)といいます。
砲身の中では翼は装弾筒で覆われていますが、撃ち出された後割れて翼が出てくるしくみです。
これに加えて、成形炸薬弾を撃つ際には、回転が加わると着弾時に直進するエネルギーが周りに拡散し、貫徹力が弱まってしまうため、最近はライフル砲より滑腔砲を採用する例が多くなっています。
自衛隊の戦車ですと、74式戦車は、イギリス製のL7A1 51口径105mmというライフル砲を使っていますが、
90式戦車は、ドイツラインメタル社製の44口径120mmという滑腔砲を備えています。
第三世代戦車はM1でもレオパルトでも大概が滑腔砲を採用していているのですが、イギリスのチャレンジャーは、ライフル砲を採用し続けています。
一般にライフル砲と滑腔砲のどちらが有利という問題ではなく、どういった砲弾を使うかという相性の問題ということです。