モビルスーツの発展(ジオン公国編)

 

陸戦型MS開発:グフの誕生

前回は、ミノフスキー粒子の発見から、最初のモビルスーツの誕生、そしてザクシリーズの発展までお話いたしました。

ザク・バリエーション

ザク・バリエーション2
(出典:総解説 ガンダム事典)

ZEONIC社は、MS-06F ザクIIの開発後、地球侵攻用の主力機として「MS-06F ザクII」の陸戦仕様である「MS-06J 陸戦型ザクII」を投入しました。
しかし、本来宇宙用に開発された機体の改修には限界があったため、同社は新たに純陸戦用の機体であるMS-07B、通称「グフ」を開発したのです。

Z_MS-07B_Gufu
(出典:「pen」No.226-2008/8/1号)

実際の開発にあたっては主に格闘戦を想定しており、胸部装甲の強化、ザクIIでは右肩に固定されていたシールドを取り回しの良い左腕部に設置、機体本体への固定武装の追加、両肩に大型化したスパイクアーマーを備えるなどの改良がなされました。
ランバ・ラル搭乗機はガンキャノンの砲撃を盾越しに耐え抜き、量産型でもガンダムの60mmバルカン砲の直撃に十分耐える装甲を持っています。
ザクIIで問題となっていた装甲強度や運動性の向上もあわせ、「ザクとは違う」機体となったのです。

重MSドムの登場

一方で、MS-05との制式採用競争に敗れた、ZIMMAD社ですが、その後はZEONIC社とのOEM生産など協力姿勢を取り、得意の推進装置分野で活躍していました。
その技術力を買われて、公国軍がJ型ザクIIの後継機として開発を発注したのが、重モビルスーツMS-09、通称「ドム」でした。
ドムは、歩行ユニット負荷軽減のため、腰部・脚部に熱核ホバー・ジェットを装備し、地上をホバリング走行することが可能となっています。

ドム2
(出典:http://p-bandai.jp/item/item-1000000110/)

秋以降、公国軍はアフリカ戦線を中心としてドムの配備を進めました。
ドムは、ホバリングを活用した砂漠地域での圧倒的な機動力を発揮し、大口径のジャイアント・バズの威力とともに、連邦軍を恐怖に陥れた傑作機となります。

次期宇宙用MS開発競争:リック・ドムvs高機動型ザクII

さらに、ZIMMAD社はドムを宇宙用に開発し、MS-09R「リック・ドム」と名付けられました。
リック・ドムに搭載された熱核ロケットは「土星エンジン」と呼ばれ、あのヅダに搭載された木星エンジンの改良版でした。
ヅダで敗れた技術は、リック・ドムによって復活したのです。

MS-09R-N-21
(出典:http://blog-imgs-43.fc2.com/n/e/k/nekononbiri/MS-09R-N-21.jpg)

他方でライバル企業のZEONIC社は、MS-06F「ザクII F型」 をベースとして、ザクIIの宇宙空間特化型、MS-06R「高機動型ザクII」の開発を進めていました。
この高機動型ザクIIは、フレームやジェネレーターなどの内部構造は大幅な設計変更が加えられており、事実上別のMSとなっていました。
その中のR-2モデルは特に高性能であるとされ、次期主力機コンペティションでリック・ドムとその座を賭けて争いましたが、今回はZIMMAD社に軍配が上がりました。

ジョニー・ライデン
(出典:http://p-bandai.jp/item/item-1000096867/)

水陸両用MSの開発:ゴッグ、アッガイ、ズゴック

ザクIIは、水中や湿地帯では、あまり大きな戦果を上げることができなかったため、水陸両用のMSの開発は、公国軍にとって喫緊の課題でした。
コロニー国家であるジオン公国には海が存在しなかったため、開発にあたっては、リゾートコロニーにおいて大々的な実験が実施されたと言われています。
ザクIIのM型が、初の水陸両用MSであるMSM-01と伝えられています。
これに対し、ZIMMAD社は、水中実験機であるMSM-02と、MSM-03、通称「ゴッグ」を開発しました。
最終的にはゴッグが制式採用されます。
ゴッグは1.740kWものジェネレーターを搭載し、ビーム兵器を装備してはいましたが、このメガ粒子砲は出力も低く、ザク・マシンガンの2倍程度の威力しか発揮することができませんでした。

ゴッグ
(出典:http://www.bandai.co.jp/catalog/item/4543112192530000.html)

一方で、MIP社も、その得意領域であるビーム兵器の開発を進め、これを搭載したモビルアーマーや水陸両用モビルスーツの開発・生産に取り組んでいました。
その結果、MSM-07、通称「ズゴック」が開発されます。
ズゴックは、ゴッグとの競合機種としては出遅れたものの、水冷・空冷併用式のジェネレーターにより、2,480kWもの出力を達成しました。
搭載されたビーム兵器の射程は20km以上あり、威力もゴッグの数倍に達していたのです。

ズゴック
(出典:http://p-bandai.jp/item/item-1000098265/)

ZEONIC社は、MSM-04、通称「アッガイ」を開発しますが、これは廉価版であったため戦闘能力が低く、主に偵察任務に用いられました。

第2次主力MS開発計画:ゲルググvsギャン

地球連邦軍も「V作戦」によりMSを開発し、公国軍の技術に猛烈な勢いで追いついてきました。
特にRX-78-2「ガンダム」は、パイロットの少年アムロ・レイの超人的な活躍もあり、多くの公国軍MSを撃破していったのです。

これに対して、公国軍は次期主力機の開発に行っていました。
選定候補となったのは、2機種のMSでした。

一つは、ZEONIC社が開発したYMS-14「ゲルググ」。
もう一つは、ZIMMAD社が開発したYMS-15「ギャン」でした。

ゲルググ
(出典:http://shopperzone.jp/shop/hobbyzone/item/3797/)

ギャン
(出典:http://www.bandai.co.jp/catalog/item/4543112434180000.html)

ZEONIC社とZIMMAD社は、三度、制式採用をかけて争ったのです。白兵戦主体でビーム兵装がサーベルのみというギャンに対し、ゲルググは対艦戦闘までも視野にいれた宇宙空間戦闘能力を有していました。

さらにゲルググの熱核反応炉は、水冷式の水陸療両用MSをベースに開発されており、ガンダムを超える1,440kWもの高出力を得ていました。
ギャンの性能も非常に優れたものでしたが、ゲルググのほうが汎用性と生産性に優れていたのです。
結果として、ゲルググは、大差をつけてギャンに勝利し、制式採用されました。

先行量産型のゲルググは、シャア・アズナブル大佐やエース部隊であるキマイラ隊に先行配備されました。

ゲルググは、終戦までに700機以上が量産されたと言われています。
一年戦争屈指の傑作機と言われ、すべての項目において高い評価を得ていました。
このゲルググがもう1ヶ月早く量産されていたら、戦況のゆくえはわからなかったという人もいるくらいです。
戦争末期の公国軍は多くのパイロットを失っており、ゲルググの多くは学徒動員兵が乗り込むこととなりました。

ジオン公国MS開発技術の継承

公国軍のMSを開発してきた、ZEONIC社、ZIMMAD社、MIP社でしたが、戦後はいずれもアナハイム・エレクトロニクス社に合併・吸収されました。
ジオン公国の高いMS開発技術は、同社に継承され、その後のグリプス戦役や2度に渡るネオ・ジオン抗争において、再び現れることとなります。

 


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1 Response

  1. 2016年1月16日

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