ベレッタ92Fとは
ベレッタ92とは、イタリアのピエトロ・ベレッタ社が生産・販売している自動拳銃です。
このベレッタ92は、ベレッタM1951の後継機として1970年に開発がスタートしています。当時の西側は政治テロが頻発しており、市場のニーズが多弾装・ダブルアクションにあると睨んだベレッタ社は、1975年に、ダブルカラムマガジンに9mmパラベラムを15発装弾できる、ダブルアクションのベレッタ92を発表しました。
ベレッタ92は、ワルサーP38の流れを汲むプロップアップ式ショートリコイル機構を持っています。
いわゆるブローニング式のリコイル機構と違っているのが大きな特徴です。
同社の拳銃の特徴であるスライドの上面を大きく切り取ったデザインは、イタリアの銃器デザインのひとつの到達点とも呼ばれ、見た目の美しさは芸術品にたとえられるほどです。
如何にしてベレッタ92は名銃となりしか
しかし、上述の通り、これまでのベレッタ社の拳銃たちだって、そのデザインは洗練されていました。
それでもベレッタ社の銃は、陽の目を見ることはありませんでした。
このままいけば、ベレッタ92も、その先輩銃たちと同じ運命をたどるはずでした。
けれども、銃の神様はこのベレッタ92に、これまでの同社の拳銃とはまったく違う未来を用意していたのでした。
なんと、このベレッタ92(の中のベレッタ92F)は、1978年から始まり長期に渡る米軍制式採用トライアルをくぐり抜け、1985年に、SIG SAUER P226を破って、M9として米軍制式採用の座を射止めてしまうのです。
いわゆる「世界最強最大の米軍御用達」の看板はやっぱり圧倒的なものがあり、これによりベレッタ92の人気は一気に高まり、各国の軍や警察組織、民間市場において一大ブームを巻き起こします。
そして映画の大スターに
それだけでありません。
ベレッタ92Fはその後、3つの伝説的な映画に登場することによって、拳銃界の大スターとなっていくのです。
1986年「男たちの挽歌」
1987年「リーサル・ウェポン」
そして、極めつけは、1988年「ダイ・ハード」
この3本の映画でベレッタF92が用いられたことにより、一気にその存在価値が高まり、以降のガンアクションシーンにおいて、ベレッタ92が出ないものはないというくらいの圧倒的なポジションを占めるに至るのです。
ベレッタ92は、銃身の上部が大胆にカットされた独特のデザインを有しており、そのシルエットや薬莢を排出する際の作動がとても華麗でした。加えて、15発の多弾数を活かした連射シーンは迫力満点だったので、まさにアクション映画にうってつけの銃だったのです。
また、ベレッタ92はマニュアルのセイフティが左右両側についており、更に容易にマガジンキャッチ・ボタンの向きを左右に変更可能なので、ダイ・ハードシリーズのジョン・マクレーンのように左利きの人にも多く使用されています。
そしてなんといっても「米国軍制式採用」という折り紙つき。
映画でベレッタ92を使わない理由はまったく見当たらなくなっていました。
移り変わる拳銃のスター
しかし、2000年代に入ると、グロックやSIG SAUERのPシリーズといった新世代の拳銃たちが映画で使われ始めます。
実際に「ダイ・ハード」はベレッタ92を有名にすることに最も貢献した映画ですが、2作目の「ダイ・ハード2」では、同じようにグロック17を有名にしてしまいます。
ただし、空港の金属探知機に引っかからないというのはまったくの嘘ですが(笑)
しかし、ベレッタも負けていられません。
最新モデルPx4が「インセプション」や「ダイ・ハード4.0」といったヒット作に登場し、巻き返しを図っています。
映画を見る際に、いったいどういった拳銃が使われているかに注目してみるのも、楽しみ方の一つですね。
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